ぬかるみ読書録

電子書籍で読んだ商業BLの感想をぬるぬると更新するだけのブログ。

『たどるゆび』高崎ぼすこ

大手メーカー勤務の花村は、上司の佐井に好意を寄せていた。佐井の結婚話を聞いて失恋を自覚していたところに、取引相手の敏腕デザイナー高瀬が現れ、花村の才能を見初め心もカラダも奪っていく。その後、彼のデザイン事務所に拾われた花村は、傍若無人でオレ様な高瀬にどんどん惹かれるも、「恋愛しない」と有名な彼との距離感がつかめず戸惑うのだが――。

収録作品:「たどるゆび scine:1-4」「(描き下ろし番外)恋人1日目」「隣にいさせて」、あとがき、Renta限定特典(1ページ漫画)

感想:

どちらかというとアホの子受でしょうか。クリエイターものとしてはオーソドックスな、片思いしている先輩にいいように利用される→才能もあって受を尊重してくれる攻に引き抜かれ、仕事も恋愛も上向き、系。後半で受の仕事面での自立と成長を描いているようで、実際は依存の対象が佐井(&佐井に仕事で認められること)に変わっただけに見えてしまうのでお仕事モノとしてはぬるめ。

エロ重視の話なのは間違いないです。クールで格好いい攻とおぼこいのにベッドの中ではエロエロな受が好きであれば楽しめるはず。かなりあからさまな構図も多かったのですが、局部の消しは幸い白抜きではなく、輪郭を残しつつトーン処理でぼかしているので、真っ白興ざめの悲劇に見舞われることもありませんでした。

気になったのは、高崎さんの絵が崩れてきていること。今の絵柄の方が好きだという方もいるかもしれませんが、わたしは断然1冊目(『いとしい、ということ』)の頃のクールビューティーな絵柄の方がツボ。絵柄だけでなく人体や構図にもハテナがつく箇所があり、せっかくの濡れ場と大胆な構図も萌える前に「このコマ、遠近感が!」等々、気になって仕方ないのです。*1

なお併録の「隣にいさせて」は、能楽師x同居人大学生。こっちの方が少し古い作品なのか、絵は表題作よりずっときれいでした。

*1:ちなみに『いとしい、ということ』と本作のあいだに、あすかコミックスCLDXから『オマエは羊』というコミックスも出ていますが、この時点でかなり絵は変わってしまっている印象。