ぬかるみ読書録

電子書籍で読んだ商業BLの感想をぬるぬると更新するだけのブログ。

『ソムサン〜総務第三課』西野花(イラスト:佳門サエコ)

 

総務部三課は社員を身体で癒す秘密の部署である。統括の環は自らの身体を差し出し、どんな相手でも受け入れる。複数、射精管理、拘束、空イキ…要求される様々なプレイに身体は淫らに濡れ、快楽の嬌声をあげる。だが環には昔から一途に想いを寄せている人物――初めての相手・篠宮がいて…? 最上級の恋愛とエロティックなプレイが電子でも登場! 

収録作品:(前編)「商品開発室の獣たち」「海外事業部の大富豪」「総務部三課の駆け引き」「統括の秘密」「統括の感傷(単行本未収録)」、(後編)「海外事業部の暴君」「期間限定の恋人」「システム開発部の秘めた欲望」「秘書室の男」「ソムサンの内情」(イラスト有)

感想:

社員を癒すための慰安部署、というトンデモ設定による連作集。普段は他部署で素性を隠して業務に従事しつつ、業績を上げた社員への褒賞やメンタルに問題を抱えた社員への慰安に身体を差し出す社員たちはなぜか全員男性(社員が「男と抱きたがる男」か「男に抱かれたがる女」ばかりというのはちょっと強引なような)。しかも統括が、血縁はないとはいえ社長の息子。さあ、やおいファンタジー脳に切り替えて臨みましょう!

一話完結のオムニバス形式で、統括の環が運転手・篠宮への思いを抱えつつ様々な社員の欲望に寄り添うというのがベースのストーリー。あと、なぜか出向してきているアラブ富豪に見初められた地味社員・黒木くんのお話や、三課のスタッフ同士で恋愛関係になってしまう夏端と燐堂のお話も挿入されているので割とバラエティに富んでいます。ただ基本は「社員の慰安のため派遣される」人々の話なので、固定カップル以外は無理な方には地雷です。作品紹介にも書かれているように変態的なプレイも多めで(だからこそエロ重視の話で、ある程度作品ごとのバラエティが確保されているわけですが)、おっさん攻も多め。佳門さんの挿絵だと綺麗ですが、ほとんどの派遣先は字面を追う限りあまり清潔感のないゲスなおっさんのように思えますし、好き嫌いは分かれる作品集かと。

捲っても捲ってもエロな2冊なので、途中で食傷するかなと思っていたのですが、いろいろと工夫が凝らされていたので意外と飽きずに楽しめました。ただ、わたしとしては好みが、夏端x燐堂>アドリーx黒木>>>>有象無象&篠宮x環だったので、もっと脇カップルの話が読みたかったです。環は最後背景説明はあったもののやはり「なんで社長の息子がこんなことやらされてるんだ」というツッコミが脳内から消えることがありませんでした。