ぬかるみ読書録

電子書籍で読んだ商業BLの感想をぬるぬると更新するだけのブログ。

『GAPS』里つばめ

「こないだ俺 面白いAV見たんですよね、上司喰っちゃうやつ」

長谷川直幸、37才。仕事は充実しているものの、反面、私生活はさっぱりで、身体の衰えを自覚しつつある。片桐 聡、30才。顔よし、頭よし、性格よし、男女問わず、社内の憧れの王子様。のはずが、大学生からお金を巻き上げたり、気に入らない相手の車を壊したり、プライベートは破綻しまくりだった!? 夜の公園で、誰も知らない片桐を知ってしまった長谷川の運命は!!

収録作品:「GAPS」「REVERSE(描き下ろし番外)」、登場人物データ&小ネタ集(2ページ)、電子書籍限定ペーパー(1ページ、イラスト&4コマ)

感想:

これも昨年読んだ中で気に入っている一冊。里つばめさんのコミックスでは前に出た『EVERGREEN DAYS』 『恋する僕らの卒業論文』も読んでいますが、絵や描写がさっぱりしているので爽やか一辺倒の話だとあっさりしすぎてしまう気がします。本作くらい毒があるほうが好み。

帯に「昼は、社員憧れの王子様 夜は、社会性欠如のクズ」とありますが、まさにフレーズそのまま、二面性のある後輩・片桐のプライベートの顔を知ってしまったがために彼に振り回される37歳真面目系EDリーマンの長谷川。暴力振るうし物は壊すしギャンブル好きだし実にクズな片桐ですが、長谷川への執着というか甘えは可愛らしくて、年下攻の魅力満載です。一方の真面目でちょっと頼りなくて潔癖気味な小市民(しかもED)の長谷川も、昼の片桐には感心や羨ましさや疎ましさ入り混じった複雑な思いを抱き、夜の片桐にはひたすら振り回されつつも何となく突き放せず面倒みる羽目に。オカン系攻は元々好きですが、オカン系受も悪くないな〜と思いつつ読みました。

絵もお上手で話もしっかりしており大満足な一冊ですが、悲しむべくは寸止め。この2人の関係性だとここで終わる方が雰囲気的にいいよな〜、でももう一歩進んだとこも見たかったな〜と、うだうだ考えつつ、本作に出てきた片桐の幼馴染・矢島が主人公の次作「DOGS」を楽しみに待つ日々です。矢島気になってたので嬉しい!

 

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