ぬかるみ読書録

電子書籍で読んだ商業BLの感想をぬるぬると更新するだけのブログ。

『恋ときどき、焼きサバ定食』大島かもめ

ハイスペイケメン証券マンだがナルシストの永瀬涼一は、とある下町の定食屋「やまねこ亭」の跡取り息子・石塚 仁に猛アタック中v なびく気配はイマイチないがどうやら嫌われてはいないらしい。ある時ひょんなことからデートに連れ出すことに成功。雰囲気も悪くなく仁も終始楽しそう。「これはイケる…!」そう確信した永瀬は思い切って告白した! けれど食い気味に「ごめん」と断られて―――俺はどこで間違えた!?定食屋で繰り広げられる、恋とご飯の物語v

収録作品:「恋ときどき、焼きサバ定食(全3話)」「メモラブル・メモリーの再会」「クロがヒトになった理由」「(描き下ろし「恋ときどき、焼きサバ定食」番外)やまねこ亭男子会」、+アニメイト特典ペーパー(1ページまんが)

感想:

タイトルに地雷臭感じるけど表紙は良さそうだしな〜、としばし悶々としてから購入したところ、一発で作者買い決定の大当たりです!

ナルシスト勘違い証券マンが、行きつけの定食屋の息子に惚れ込んで、つれなくされつつも奮闘するコメディです。勘違い永瀬は、不安や自信のなさを半自覚しつつ、それを克服しようと仕事でもプライベートでも過度にポジティブ。これをがっつりシリアスに描かれると痛々しいのでしょうが、そこはうまいことコミカルに緩和。作風自体は異なりますが、多少個性的な絵柄とコメディとシリアスの絶妙なバランスなど、おそらく羽生山へび子さんがお好きな方は、大島さんの作品も気にいるのではないかと思います。

愛しい定食屋の息子、仁を無理やり誘い出したデートでも、身だしなみはバッチリだけども目の下にはクマ、自分は昆虫が苦手なのに無理して仁の好きな昆虫館を行き先にした結果、失神。健気で格好悪いナルシスト攻が愛らしくて、その綻びに可愛らしさを感じてほだされていくクールで男前な受の気持ちがよくわかります。ていうか本気で途中まで「これ最終的に逆転して永瀬が受になんないかな〜」と思ってました。描き下ろし番外編が面白かったので最終的には永瀬が攻で良かった、かな(未練有)。中高年の描き方もお上手で、仁の父親や定食屋の常連のおじちゃんたちもいい味出しています。

併録作品はいずれも読み切りです。

「メモラブル・メモリーの再会」子どものころ遊び半分でしたディープキスがきっかけで気まずくなった幼馴染。一方は都会でサラリーマン、一方は地元で寺を継いでいたところ、法事で再会。法衣攻(最後まではいきませんが)が色っぽく、さわやかな話でした。

「クロがヒトになった理由」親に先立たれ一人で魚屋を切り盛りする男の飼い犬が、ある日人間に。ケモミミアンソロジー掲載作品とのことですが、ファンタジーが下町感&日常感といい感じにフィットしていて、こちらも良かったです。

全体的に濡れ場は控えめで、あっても露骨な描写(修正が必要になるくらいの)は皆無。でも、何気ないやりとりや表情からにじみ出るフェロモンが強力で、全体としてはかなり色っぽい作品群です。

 

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