ぬかるみ読書録

電子書籍で読んだ商業BLの感想をぬるぬると更新するだけのブログ。

『真夜中のクライングモア』遠藤巻緒

緒方純の十代はぶっ壊れていた。ゲイだとバレていじめられ、死にたいと思いながらも学校に通う毎日。そんなとき出会った、オネエ口調の同級生・松永湊。まわりとわけ隔てなく接してくれる湊に心惹かれていく純。湊との出会いが、純を救う――はずだった… 

収録作品:「真夜中のクライングモア」「(描き下ろし)in the sequal」、あとがき(カバー下)

感想:

暗くてイタい青春ものです。虐め、強姦、暴力、虐待。思った以上に深刻だったので苦手な方はご注意を(虐め=集団での性的暴行描写がねちっこいです)。救いがないわけでもないのですが、年々BLにも痛々しさより癒しを求める傾向が強くなってきているわたしには辛かったです。初出が同人誌のようですが、確かに商業連載に載せるにはちょっとアクが強い作品ですね。

ゲイばれして虐めに遭う純が出会った、「入院により2つ年上」の同級生・湊。湊は純を「俺と同じ側の人間じゃないかって思った」と言い、2人は親しくなるのですが、一見マイペースで穏やかそうな湊の裏の顔が徐々に明らかになっていくとともに、純も少しずつ変わっていきます。その変化がポジティブなものなのかどうかは、おそらく判断の分かれるところ。

細やかでどことなく硬さや不安定さを感じる絵柄。仄暗くちょっと古風な作品のテイストとも合っているので、このタッチは個性なのかな。ちょっと説明的すぎる気はしますが展開もきちんと整理されています。エロも回数は多いし描写は濃いんですけど、いかんせん基本モブ(輪)姦なのでなかなか萌えられず。番外編の初々しい純は可愛いですが、この2人だとやっぱり湊がオネエ攻で純が受でいいのか? それとももしかして、などとちょっと考えてしまいました。