ぬかるみ読書録

電子書籍で読んだ商業BLの感想をぬるぬると更新するだけのブログ。

『前から知ってる君のこと』セキモリ

人材派遣会社営業の維田は、ハードワークでお疲れ気味。担当している派遣社員が次々と問題を起こす上に、ケガした子猫まで拾ってしまう。しかも、偶然見つけた動物病院の獣医(♂)が、初対面にも関わらず「毎晩あなたの夢を見ます。ずっとあなたが好きでした」と電波な告白!! だが、仕事柄、電波さんの取り扱いには慣れている。子猫が治るまでと割り切って獣医の元へ通うことにしたが、なんと相手は料理上手で甘やかし上手…いかん、このままでは落とされてしまう―――!!? 

収録作品:「前から知ってる君のこと」「もっと知りたい君のこと」「(描き下ろし)知れば知るほど君のこと」「屋根裏ルール」「(描き下ろし)13年目の楽屋裏」

感想:

はじめて読む作家さん。画面がすっきり小綺麗で、ほのぼの系のお話ともよく合っていたと思います。

拾った子猫を連れて行った先の獣医師に突然愛の告白をされるお疲れ系リーマン維田。「前世から縁のあったあなたの夢を毎日見る」と電波ゆんゆんな口説かれ方にドン引きするものの、営業ならではのスルー力で受容しているうちに、手懐けられてしまいます。最近はBLも胃袋つかむ系のお話多いですが、本作品でも美味しい食事に懐柔され、共通の趣味(アメフト観戦)で話題がはずみ、気づけば心までがっつりと。まあ電波ゆんゆんな言動にはすっとぼけた背景があったりもするのですが、それはそれで。

外見上はカワイイ系年下オカン黒髪攻と、吊り目でやや人相悪い受なので、ビジュアル面で地雷のある方はご注意を。わたしも本音を言えば、攻受は逆の方が好物パターンなのですが、まあたまにはこういうのも良いですよね。キャラ設定とビジュアルはマッチしてますし。

併録の「屋根裏ルール」はお笑い芸人もの。かなり長いスパンのお話なので前後編でも尺的に厳しい印象はありました。あいだ9年をストーリー上すっ飛ばすので、その間の感情や関係性の深まりが十分に感じられず後半の展開は唐突。その後も一気に数年すっ飛んで気づけばベテラン売れっ子芸人。普段からお笑い好きでご覧になる方には「あるある」でその間をイメージできるのかもしれませんが、門外漢にとってはちょっとついていくのが大変でした。作者の方は芸人もので別に単行本出しているようですし、お笑いお好きなのでしょうね。

エロはちょこちょこあって、そこそこの色っぽさ。局部を描き込むタイプではないので修正等は特にありませんでした。