ぬかるみ読書録

電子書籍で読んだ商業BLの感想をぬるぬると更新するだけのブログ。

『ちいさくともる』阿弥陀しずく

父の入院をきっかけに地元へ戻った灯が再会したのは小学校の同級生・山田。引っ込み思案で物静かだった山田は、今も当時と変わりない印象だったが、彼の実家の喫茶店で唐突に草野球に誘われてから、二人の距離はぐっと近くなる。天然だったり頑固だったり、知らなかった山田の一面を知るにつけ、灯の胸は高鳴りを覚え――。阿弥陀しずくの初コミックス、忘れ物を手渡すような一冊。 

収録作品:「ちいさくともる」「(描き下ろし)その後のはなし」、あとがき

感想:

田舎の商店街、引っ込み思案な喫茶店の息子と、東京から戻ってきた金物屋の息子。小学生時代から一貫して不器用な山田がとにかく可愛いです。そして「自分にだけそっけない」山田に理不尽さを感じ、苛立ちながらもそんな山田が気になってしかたない藤原。久々に田舎に戻ってかつての同級生と会ったときの、懐かしいような気まずいような気持ちが丁寧に描かれていて、BL要素以外の部分でも「あるある」と親近感。

役に立っているのか立っていないのかわからない(総合的にはまあいいことしてるのか)山田の友人・神谷といい、エキセントリックな藤原の元彼女・倫子といい、メイン2人の親といい、脇キャラクターの存在感もしっかりしています。色っぽい描写はあまりありませんが、描き下ろしではいざというところでの藤原情けなさに笑い、山田の男らしさに感動しました。

でも、やっぱり阿弥陀さんの作品で一番好きなのは「からっぽダンス」。BLじゃないけど! 新刊がとても楽しみです。

 

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