ぬかるみ読書録

電子書籍で読んだ商業BLの感想をぬるぬると更新するだけのブログ。

『まっくらやみで君と』タカナシモリミチ

ある夜、悲鳴を聞きつけた滝本薫はまっくらやみの中、突然何者かに抱きつかれてしまう。驚いて身動きできずにいたが、鼻をくすぐるこの香りは……佐久間課長!? さらに「今夜、僕と寝てほしい」なんて言い出した!! エリート上司のおねだりを断りきれない滝本は振り回されまくり!! おまけにめんどくさそうなヤンデレイケメンの岩瀬悠太朗も現れて……。男達の傷と秘密が重なる、ビターな恋がここに。 

収録作品:「まっくらやみで君と」「(描き下ろし)nightmarks」、カバー下(1ページマンガ、あとがき)

感想:

試し読みして一旦は「上手いけど合わない絵柄」と購入を見合わせましたが、やっぱり気になってしまい……結果、読んでよかった! 人物も話も魅力的なので、一話目を読み終える頃には違和感があったはずの絵柄も好きになってました。暗闇が苦手で怖がりで料理上手でバカ素直で、乙女受っぽいはずなのに、佐久間課長があまり女々しく感じられないのは独特の間合いのせいなのでしょうか。背景も登場人物も重いはずなのに展開はちょっとコミカルで、軽やか。

すっとんきょうな佐久間の頼みに嫌々つきあっていた滝本が徐々に佐久間に惹かれていくのも、「他人(父親)の期待を裏切ること」を恐れる佐久間が「ダメなところを知るほど好きに」なってくれる滝本に救われる流れも説得力がありましたし、付き合い始めてからの(主に佐久間のずれた感性ゆえの)ちょっとしたいざこざも微笑ましい。いいもの読みました。

本編はキスのみ、番外でも本番には至らずですが、このお話はこのくらいがちょうどいいんだと思います。そして個人的に萌え萌えだった岩瀬! あれだけで終わらせるにはもったいない怪しさとイケメンっぷりでした。岩瀬メインの話が読みたいです。