ぬかるみ読書録

電子書籍で読んだ商業BLの感想をぬるぬると更新するだけのブログ。

『となりの快楽主義者』梶本潤

どすけべでテキトーでいい加減でどこまで本気なのかさっぱり分からない、性欲に天パが乗った単細胞エロ生物……そんなオトコ(しかもタチ)がいつも俺のとなりにいて、本当は誰よりも俺を想ってくれてる……だと……!?

収録作品:「となりの快楽主義者」「ひみつの快楽主義者」「愛と快楽主義者」「叔父さんは僕のもの」、巻中おマケトーク、「巻末おマケ漫画 どこまでも快楽主義者」、あとがき

感想:

かなり長く活躍している作家さんで、かつての印象は「ごつい」「登場人物全員ラガーマン?」「さxっぽい」といったところで敬遠していました。ところが、いつの間にか画風がずいぶんすっきりし、絵の上手さ、描き込みの細かさ、展開のテンプレ感、などなど良くも悪くもベテラン作家さんといった印象です。梶本さんご本人が、最近人気の作風や重めで深みのある話は描けない、「笑って終われるマンガ」としてのエンタメ性を重視している、と書いているのをと読んだことがありますが、やはりベテランらしい一本筋の通った姿勢だと思います。

当初は反発しあっていた2人(もしくは一方的に受が反発)がトラブルや誤解を経てラブでエロ、というパターンが多く、今回もその系統です。わたしは過度にムキムキな受は苦手なのですが、梶本さんの場合は受の体がしっかりしている場合でもギリギリ細マッチョ+常に攻の方がより男っぽいので読みやすいです。受の灯夜はタチ設定なのですが、攻の靭世との関係では終始受受しいので、上下争い的な要素はありませんでした。

エロは濃いというか、激しいです。ピアスって電子書籍だと真っ白に消されている印象がありますが、これは割と薄いぼかし。梶本さんは濡れ場の構図がいろいろ工夫されていて毎度楽しいのですが、行為自体はワンパターン(とにかく入れる! 突く!)かつ、途中でコメディタッチになって終わることも多いので、色っぽさという意味ではちょっと物足りないかも。まあそういう即物っぽさ含めてピアスっぽい一冊なのかもしれません。