ぬかるみ読書録

電子書籍で読んだ商業BLの感想をぬるぬると更新するだけのブログ。

『恋はドーナツの穴のように』砂原糖子

 

恋はドーナツの穴のように (ディアプラス文庫)

恋はドーナツの穴のように (ディアプラス文庫)

 

ドーナツ屋店長の倉林は、多すぎる業務、使えないバイト、単調な毎日に疲れきっていた。携帯の中の元恋人のアドレスを眺めては、束の間の現実逃避をする日々だった。一方、新入りバイトの凛生は今時の冷めた高校生。恵まれた容姿で女の子にもてるくせに、他人に興味を持てないでいた。けれど黙々と仕事をする倉林の携帯電話を眺める横顔は妙に気になって…?
バイト高校生×ドーナツ屋店長の12歳年の差ラブ。

収録作品:「恋はドーナツの穴のように」「ハニーリングを一つ」、あとがき

感想:

くたびれたドーナツ屋の店長と、クールなイケメンだけどどこかズレている高校生バイト。感情の行き違いはありつつも全体的にほんわかと、可愛いラブストーリーです。イマイチ人間味が感じられないくらいクールな凛生が倉林への恋愛感情を意識してからの、不器用で必死な態度。一方凛生への感情の抑えが効かなくなり「くたびた大人」が一転エロ可愛くなってしまう倉林。多少の波乱はありつつも、大きな波乱はなく、安心して読めて、そうそう疲れた大人はこういう話を欲しているのよ! と存分に癒されました。

子どもっぽい必死さと、ちょっとした嗜虐性のかけらを持つ凛生と、快楽に弱い(けどある意味手練れな)大人の倉林。濡場も非常に色っぽくて良かったです。やっぱりわたしは、砂原さんの描く、前戯から程よくねちっこい濡場が好きだと改めて感じました。重々しいお話を求めている方には軽すぎるかもしれませんが、ラブでエロで幸せなお話が読みたいときにはぴったりです。

実はこの間に砂原さんの『イノセンス〜幼馴染〜』と『ミスター・ロマンチストの恋』も読んでいるのですが、これらの感想を書くかはまだすこし悩んでいます。『イノセンス〜』の方は、意欲作だとは感じたのですが、個人的に知的ハンディキャップを持つ/知的ボーダーに当たりそうな人物の恋愛話というのをどう受け止めるか(他の作家さんでも何作も読んでいますが)整理しきれていないというのが理由です。『ミスター・ロマンチストの恋』は初期作だけあって、ちょっと荒削りですね。

 

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