『しあわせのはなし』歩田川和果

三十年生きて、そのうちの二十四年、人生の五分の四、片想いしている。 はじめての告白は、高校生のとき。 その後も二回失敗したが、俺はいつもしあわせだった。 佳久がずっと好きだ。 なのに、佳久を傷つけた。 体に残った傷痕は、どれだけ佳久を傷つけたかの証。 だって俺は、佳久の弟と関係を持ったんだから……。 ぜんぶ…