ぬかるみ読書録

電子書籍で読んだ商業BLの感想をぬるぬると更新するだけのブログ。

『思い違いが恋の種』おわる

製薬会社に務めるMRの黒野は取引先の紹介で大病院の麻酔医・北條の元に営業に行くも、氷のような冷たい態度であっさり追い返されてしまう。なかなか心を開いてくれない手強い北條だったが、あの手この手での努力の甲斐あって地方の学会に同行できることに!
お近づきになれるチャンス! と思って張り切っていたその夜。まさかの同室、部屋には一組の布団、着崩した浴衣に意味深な表情。これは……明らかに誘われている……!? 相手は男、しかも氷の麻酔科医と有名な堅物で……。抱くか、抱かないか、どうするのが正解なんだ!!?
イケメンMRと美人麻酔医、オトナの恋の駆け引き★ 

収録作品:「思い違いが恋の種」「(描き下ろし)思い違いのその先は」、あとがき、裏表紙、カバー下(2ページマンガ)、特典ペーパー(1ページマンガ)

感想:

前作に引き続き今作も好みの設定で、作品を経るごとに良い感じになってきている作家さんです。サービスたっぷりのエロとラブはそのままに、画面作りや構成など技術的な部分がずいぶん洗練されたのではないでしょうか。

本作は、直情型ワンコMR×ツンデレ麻酔科医。年に2回掲載で2年半かけて完結した連載とのことです。契約目的でつれない麻酔科医・北條につきまとっている黒野。一方北條は、てっきり黒野が自分に好意を持っているのだと思い込み、お互いの気持ちを忖度し合っているうちになぜか肉体関係を持ってしまいます。全体としてきれいにまとまっている中であえて言えばこの導入部だけがちょっと強引(お互い内心では好意を持っているわけなので、「思い違いで寝てしまった」というのは言い過ぎ)に思えました。

しかし、一度寝てしまったことで恋愛感情を自覚した黒野は、相変わらずクールな北條の愛情を手に入れるべく実に健気かつたまに自制がきかないワンコ化。とにかく黒野の献身は涙ぐましく、ちょっと感動的なくらいです。過去の恋愛で痛い目を見た受の心を開かせるというのはド定番ですし、前の男が出てきてかき回すのもド定番。その定番を、心情描写あり、濃いエロあり、かつ深刻になりすぎないタッチで丁寧に描いた作品で、とても良かったと思います。1話1エロで、描写は濃いし修正も比較的抑えめ。描き下ろしもカバー下も、手を抜くことなくエロを描かれているのが素晴らしかったです。

 

↓↓おわるさんの他の作品の感想も書いています↓↓