ぬかるみ読書録

電子書籍で読んだ商業BLの感想をぬるぬると更新するだけのブログ。

『友人関係』歩田川和果

「何度でもふられてこい、俺は何があっても友達だから」……そう言ってアイツは俺を抱く。

相原には、ふられる度に慰めてくれる友人がいる。その友人・和久井は、相原の初恋ではじめてふられた相手。以来、相原のことが放っておけないと言ってずっと側にいる和久井とは、いつの頃からかセックスまでするように。自分をふったくせに、まるで束縛するかのようになんだかんだと干渉してくる和久井に戸惑いつつも、今の関係を壊したくない相原は───……。

収録作品:「友人関係」「(描き下ろし)約1ヶ月後」「双子の頭」「ひつじ雲」「0.8」、(電子限定描き下ろし)1ページマンガ

感想: 

最近新書館竹書房の若手作家さんがかなり被るようになってきているように思えるのは気のせいでしょうか。割と好きな方が多いのであちこちで描いていただけるのは読者として嬉しいです。

歩田川和果さんは「ねくたいや」シリーズで、ヘタレ攻のイメージがあったのですが、こちらは「一見飄々とした振りした執着攻(しかもアプローチのしかたが面倒臭いというか、性質が悪い)」という予想を裏切るパターン。表題作の攻・和久井については、相原を振っておきながら長年干渉を続けてきたことについて一応彼なりの言い分だか言い訳だかあるわけですが、冷静に考えると全然理由になってないというか、やや病んでるんじゃないかってレベルです。

ノンケに恋をしては振られ続ける相原(なおノンケにしかアプローチできない理由も哀れ)と、相原が振られるたびに満足げに体で慰めてくる和久井。冒頭から互いに気持ちがあることは見え見えで、何か大きな出来事が起こるというのではなく、長年続けてきた歪な関係をいかに崩すか、相原と和久井が繰り広げる駆け引きを楽しむ作品なのだと思います。相変わらずたまに吹き出しの位置に違和感はあるものの会話がテンポ良く、軽妙ながらもスリルあるやりとりがときに色っぽくもありました。ストーリー的にはあっさり系なので、感情や会話、雰囲気重視で楽しむタイプの作品でしょうか。わたしは大好きです。

兄弟モノの短編「双子の頭」も攻(弟)がヤンデレ寸前。キリキリ感情が高まって、いいところで余韻を残して終わっており非常に良かったですが、人によっては寸止めと感じるかも。幼なじみもの「ひつじ雲」、元美術部仲間の、美術教師と絵描きのカップルの「0.8」含め、全体的に飄々とした人物や会話の裏側にひりひりする感情が渦巻いているような話が多く、これが歩田川さんの持ち味なのだと思います。

ちなみに濡れ場は分量的にはそこそこ。描写自体はあっさり目ですが表情や雰囲気が良いです。余談ですが、表題作で手首縛って致している場面のアクロバティックな体位が気になりました。あれは左足を攻の肩に掛けているのかな。

 

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