ぬかるみ読書録

電子書籍で読んだ商業BLの感想をぬるぬると更新するだけのブログ。

『その好きの行方』三月えみ

高校で社会科の非常勤講師をしている出雲は、イケメンで人気の物理教員、室戸に密かに片思いをしていた。卒業式を控えた、ある日の放課後。出雲の所に、女子から逃げてきた室戸が言った言葉は「お願いです! オレの彼女になってください!!」そして出雲と仲の良い生徒・友ヶ島も、どうやら室戸の事が好きなようで……最後の春休み、灯台の【恋のジンクス】を巡る複雑な三角関係が始まる――。

収録作品:「その好きの行方(描き下ろしあり)」、Renta!特典(カラーイラストペーパー)

感想: 

「袂の海に好きな人と撮った写真を流すとずっと一緒にいられる」という街のはずれの灯台のジンクスを軸にした物語です。思いを寄せていた室戸に「彼女になってくれ」と言われる出雲。女装して彼女のふりをした出雲とツーショット写真を撮り、思いを寄せてくる女子生徒たちを遠ざけたいというのが室戸の目的かと思いきや、「彼女」としての付き合いはなかなか終わりません。

メインの登場人物である出雲と室戸のいびつな恋愛(?)関係はもちろんですが、卒業を控えた教え子たちとの関わりの描き方がとても良かったので、なぜか教師であるメインカップルに感情移入するのではなく、自分の高校時代など思い出し甘酸っぱい気持ちになってしまいました。BLマンガなのに、一番気に入ったキャラクターが江崎さん(女子生徒)なのは自分でもどうかと思いますが、可愛いしいい子なのでわたしも出雲とともに彼女の恋を応援しています。

灯台のジンクスと室戸の過去(それに密接に繋がる「出雲を女装させたがる」性癖)というシリアスなパートと、友ヶ島くんの純情が可愛い学園生活パートの緩急も巧みで、重すぎず軽すぎず全体としてのバランスもとても良かったです。室戸の過去についてはメロドラマすぎてややトゥーマッチな感じもありましたが、まあそれはそれで。ページ数以上に長く思えたのは密度の濃い話だったからでしょう。三月さんのこれまでの作品、一番のお気に入りになりました。

濡れ場もちょこちょこあって、割と描写はしっかり目。個人的には最後まで致すところより、女装(下着も)姿で触り合う場面が萌えました。女装ものって特に萌えないんですが、女性用下着着用設定は大好物なんですよね。

 

↓↓三月えみさんの他の作品の感想も書いています↓↓