ぬかるみ読書録

電子書籍で読んだ商業BLの感想をぬるぬると更新するだけのブログ。

『アイコン』猫野まりこ

透視能力を持つ冬馬の恋人は亡き姉の夫で義兄の暁人。冬馬の姉の死の真相はいまだ不明だが、二人の愛が深まるほどにある真実が段々と浮き彫りになっていき……!? 愛し合う義兄弟の禁断サスペンス・ラブ! 本篇のその後を描いた、描き下ろしも収録! 

収録作品:「アイコン」「(描き下ろし)ファミリア」

感想: 

いろいろ荒っぽい部分もある作品ではありますが、面白かったです。受の冬馬は透視能力を持つ少年ですが、アホの子とヤンデレを併発していて本来わたしの好みではない……はずなんですけど、2つの属性が絶妙に混ざり合っているおかげなのか、どうにも嫌いになれないんですよね。そして一見クールなイケメン刑事なのに、エロい上に冬馬に負けず劣らずヤンデレな暁人。

冬馬の姉の死因に関するミステリーや、終盤のちょっとしたどんでん返しなど、サスペンス要素も楽しめました。サスペンスとして、超常能力ものとして、禁断の愛ものとして、それぞれ単体で見ると粗かったり浅かったりする部分を、要素の組み合わせ+エロの力で上手く読ませてくれたのではないでしょうか。描き下ろし番外編の「3人」での幸せそうな姿も良かったかと。

濡れ場も多めかつしっかり目。特に宿直室でお弁当食べさせながら、の場面は萌えました。猫野さんの作品には絵柄といい話の作りといいどちらかといえば少女漫画っぽい雰囲気があり、受キャラも乙女っぽいので好き嫌いはあるのかなと思います。わたし自身にとっても当たり外れが多い作家さんですが、本作は割と好きです。