ぬかるみ読書録

電子書籍で読んだ商業BLの感想をぬるぬると更新するだけのブログ。

『ギフト』明治カナ子

洋服のバイヤー・カンちゃんと、整体師の修は付き合って3年目のラブラブ同棲カップル。頑固で臆病者なカンちゃんに対して、常に自然体で正直な修のあけっぴろげな愛情表現は、年を追うごとに甘さと激しさを増していくけれど……!? 異様に楽しい温泉旅行、Hしすぎで疲労困憊修の多忙で欲求不満、そしてカンちゃんに近づく男の影……!? 

収録作品:「ギフト」「あたらしい癖」「害虫」「スーツを買おう」「レンズの向こう側」「マッサージ」「赤目歳時記」「反芻回路」「(描き下ろし)おまけ」、カバー下(4コマ)

感想:

短編集ですが、ほぼカンちゃんと修のシリーズ作品ばかり。2人の関係性を知るにはシリーズ前作を先に読むことをおすすめします。

『地獄行きバス』では感情の行き違いなど付き合いの長い同性カップルならではの危機(というか痴話喧嘩というか)が描かれた2人ですが、今回は短めのラブラブいちゃいちゃなお話メインなので、読後感はやや軽いものの安心して読めます。洋服命で見栄っ張りなところのある(でも根は田舎者)なカンちゃんと、カンちゃん命でまったく洒落っ気のない(でもお坊ちゃん)な修の凸凹カップルっぷりが堪能できたのはたいへん楽しかったです。「出張後に便秘が治るまで夜はおあずけ」とか、初めて会ったとき「害虫を見るようなまなざしで」カンちゃんが修を見たとか、愉快なエピソードも豊富でした。

「赤目歳時記」「反芻回路」はそれぞれ表題作と関係のない独立した短編。前者は養子縁組をするカップルの話、後者は恋人ができたときの幸せ感を反芻するお話でどちらもほのぼの。

濡れ場も濃厚、というか長く付き合っているのに一向におさまることのない修の性欲はすごいし、なんだかんだとそれに応じるカンちゃんもすごいです。不安定かつ癖もある絵柄ですが、それでも体勢や表情などエロさは十分です。