ぬかるみ読書録

電子書籍で読んだ商業BLの感想をぬるぬると更新するだけのブログ。

『三ツ星シェアハウス』富塚ミヤコ

昔から強面のせいで他人に距離を置かれていた烏丸。恐い顔とは裏腹に、寂しがり屋の烏丸は花盛が管理するシェアハウスで暮らしている。騒がしくも楽しい生活を過ごしていたある日、烏丸は花盛の従兄弟・坂城に「アイツおれのだから」と宣戦布告を受け──…?

収録作品:「三ツ星シェアハウス」「三ツ星シェアハウス 〜意地悪オオカミと意固地なネコ〜」「あなたにトキメキ ときどき弱気」「夜も昼も明けないほど愛しくて」、描き下ろし

感想:

初読の作家さん。表題作は、男4人がクラスシェアハウスが舞台の短編です。強面で口下手な烏丸が、いつも笑顔で面倒見の良い管理人の花盛に恋してしまうものの、花盛はどうも従兄弟の坂城と恋仲の様子。王道であまり驚きはない+終盤はやや唐突な展開ですが、不器用な烏丸くんが可愛いのでそれで許せます。

スピンオフの「意地悪オオカミと〜」の方が分量的には多い前後編で、こちらは表題作で引っ掻き回し役だった坂城と、彼の営業先である美容院スタッフのお話。表題作ではひたすらブラコン(っていうか従兄弟コン?)だった坂城ですが、ちょっと意地悪だけど面倒見の良い大人の男として描かれており一気に株が上がりました。表題作では省略されていた濡れ場もしっかり描かれていて全体的にはこちらの方が満足度高めかな。

その他は短編が2本。高校生の甘酸っぱい青春ものと、幼馴染もの。どの作品も絵も丁寧でそつなくきれいにまとまっています。ただ、どの作品もド王道で、どこかで見たような設定展開を、どこかで見たような描き方しているような印象。この作家さんだからこそ、という魅力を感じる部分はちょっと不足しているように思いました。