ぬかるみ読書録

電子書籍で読んだ商業BLの感想をぬるぬると更新するだけのブログ。

『愚か者ども、愛を知れ』会川フゥ

イケメンで仕事もできて超モテモテなサラリーマンの木野は、ある日、自分が勃たなくなっていることに気づく。AVを見てもHをしようとしても反応してくれないナニに絶望し、ヤケ酒を呷っていた木野は、岩倉という男にナンパされる。酔った勢いでラブホに行き、岩倉に抱かれてしまうが、なんと木野のものは勃起して――!? 

収録作品:「愚か者ども、愛を知れ」「愚か者ども、愛を知る」「轟木の春」「二宮の空」「猫やサオダケと僕」「僕とサオダケの恋」

感想:

名前はよくお見かけしていましたが、初読の作家さん。2作品ずつ(「愚か者ども、愛を知る」はショートですが)3シリーズが収録された短編集です。

表題作はEDリーマンが偶然ナンパされた男にだけ反応してしまい、というBL界ではしばしば見かけるパターンなのですが、木野のキャラが天然というかすっとぼけているというか。そんな木野に振り回されるいい奴な岩倉とのやり取りのテンポもよく、非常にツボでした。リバ的な展開もあるといえばあるのですが、コメディタッチだからか、そもそも2人の属性自体は大体見えている(ので最後どっちに落ち着くかは想像がついている)からか、むしろ楽しかったです。上下は固定派ですが、こういうリバなら大歓迎。残念なイケメンと、関西弁好青年っていいですね!

表題作がすごく良かった分、他の2作品は少し印象が薄かったです。「轟木の春」「二宮の空」は高校生の初々しい恋愛もの。黒髪眼鏡くん攻のちょっとチャラい長髪受。「猫やサオダケと僕」「僕とサオダケの恋」は不思議系の導入から入る、しっとりとした年の差もの。全体的にお話も心情もしっかりしていて、ほどよく力の抜けた作風にも好感を持ったので今後他の作品も読んでみたいです。

濡れ場はちょこちょこありますが、最後まで致しているのは表題作のみ。そんなにがっつりエロという感じではなく、お話の流れに合った適度な濡れ場といったところでしょうか。