ぬかるみ読書録

電子書籍で読んだ商業BLの感想をぬるぬると更新するだけのブログ。

『高嶺のオトコは他人のもの』高昌ゆり

「イイコにしてろよ。茶道会の貴公子さまのこんな姿、誰にも知られたくないだろう?」義兄から受ける折檻に耐えながら、彼が待ち望むのは――…。商店街の一角、駄菓子屋『横市商店』を営んでいる悟郎のもとに、着物を着た美しい青年がやってくる。不思議な雰囲気に惹かれた悟郎は、しばし談笑を楽しんでいたが、青年の義理の兄という男がやってきて……。世話焼き男子×傷を抱える青年のセンシティブストーリー!

収録作品:「高嶺のオトコは他人のもの(描き下ろしあり)」「まおうにあいに。」、あとがき、電子限定特典(1ページイラスト&コメント)

感想:

絵がきれいであらすじも萌えそうなので気になっていた作品で、単話販売されていたのが1冊にまとまったのを機に買ってみました。初読の作家さんです。……が、全体的には残念な印象の強い一冊でした。

設定はゆるゆるかつ伏線は回収されず、当て馬(?)も咬ませ犬(?)もほぼ不発。冒頭で再会ものっぽく見せて、その後フォローなし。私生児ゆえに義兄にいいようにされたり客人にエロいサービスさせられたりするのはBLファンタジーとしてありですが、家出してちょっと強く言い返すだけで止める程度ってどうなのよ、とか、茶々いれるとこまでもいかなかったあの和菓子職人の存在ってなに、とか。とにかく突っ込みどころ満載で、設定もエピソードも詰め込まなくて良いからもう少し丁寧に描かれていればと残念でなりません。

しかも、せっかくのきれいな絵は、線が細いからなのかほぼ白飛びしていて、全編見づらいことこの上なし。なんでこんなかすれたマンガ一生懸命読んでいるんだろう、と途中で断念しそうになりました(※解像度等は配信サイトによってことなるので、他サイトで買ってもこんなに白飛びしているのかは謎。試し読み推奨。)。ちなみにタイトルとあらすじで煽っている割にエロも薄めです。エロい展開は多いのですが、「盛り上がる→事後!」的なパターンが多く、もうちょっとねちっこいのが見たかったです。

併録の「まおうにあいに。」は魔王BLアンソロ収録作品の勇者攻魔王受。こっちのほうがきれいにまとまっていて良かったです。やっぱりページ数と中身のバランスは大事!