ぬかるみ読書録

電子書籍で読んだ商業BLの感想をぬるぬると更新するだけのブログ。

『王様の恋あそび(1)』藤谷陽子

【君に罰を与えなくては――】企業スパイの巻野は、派遣社員として大企業のプラド社に潜り込んだ。ところが時期CEO候補のカミナに、そのことがバレてしまう。その日から、彼の自宅で生活することを強要され――? 

収録作品:「王様の恋あそび」 「王様の憂鬱」「王様とわがままな休日」「(描き下ろし)幕間/同居開始から2日目」

感想:

初読の作家さん。正直設定はガバガバ突っ込みどころ満載なので、シリアスな企業スパイものをお求めの場合はお勧めしません。細かいことは置いておいて「弱みにつけこまれて監視(という名の同居)されているうちにお互いデレる」設定を楽しむマンガだと思います。具体的な目的もなくただ漫然と「いつか役に立つかもしれない」企業情報(しかも社員の愚痴や噂話や新入社員のアイデアなど)を集めるスパイ組織ってなんなのさ! 週刊誌記者以下だよ!

本編は短いこともあって、お互い恋愛感情を抱くようになる経緯もあまりよくわからず、何もかも唐突で描写不足。ただ、その後のシリーズ短編(出来上がってからの話)は、日本の精神文化や恋愛感情にちょっと疎い天然ボケのカミナとツンデレ気味の巻野の掛け合いがかわいいです。紙版ではそろそろ2巻が出るようですが、恋人になってからの話の方が楽しめたので、続きに期待。

濡れ場は割と色っぽく、修正が周囲含めてすっぽり白抜き気味なのは残念ですが、特に番外「王様とわがままな休日」は萌えました。