ぬかるみ読書録

電子書籍で読んだ商業BLの感想をぬるぬると更新するだけのブログ。

『伸るか反るか』橋本あおい

20年来の親友から恋人となった四十路リーマンの北條と南海。人生最高のパートナーはお互いだと認め合う二人だが、どちらが抱く側になるかで両者一歩も譲らない戦いがはじまり……!? 

収録作品:「伸るか反るか」「(描き下ろし)白黒つけたら」、電子限定描き下ろし(1ページマンガ)

感想:

コミックス『ふたりの熱量』に収録されていた「右か左か」で、酔った勢いでの触りっこに始まり、恋人になった2人のその後です。単独で読むと戸惑うであろう部分もあるので、先に前作を読んでおくことをお勧めします。

長い付き合いの友人同士で、同僚で、恋人。酸いも甘いも噛み分けた四十代の恋愛は、大人っぽくしっとり……とはいかず、世間体を気にして一緒に暮らせなかったり、どちらがベッドで上になるかで日々争いを繰り広げたり、ドタバタ気味。学生時代からの付き合いだからこそ、なんとなくその関係性のまま歳をとり、一緒にいるときのテンションが幼くなりがち、というのはわかる気がして、たいへん微笑ましかったです。

「どちらが攻めるか」問題は、じゃんけんで日々の攻守(とはいえ、前半は本番には至らず、指で慣らす程度ですが)を決めるところからはじまりますが、実のところそんなに激しくは揉めず、橋本さんの作品を読んできた方なら大体想像しているとおりに収まります。濡れ場は相変わらずの橋本さんクオリティ、とはいえ180cm超えのでかい男同士で体育会系の友情の延長線上にあるので、こちらもややドタバタ。エロさはあるけど色気は控えめ、とでも言えば良いのかな。修正についても一部を棒線で隠すいつものパターンだったので一安心。一部電子書籍サイトではすっぽり白抜きとも聞くので、新書館についてはやはり今のところRenta!で買うのが安心ですね。

2人の部下や同僚、北條の元妻、家族まで出てきて、「いい年した男2人が人生を共にする」ことにまである程度言及しようとした作品だとは思いますが、そこはまあリアリティよりエンタメ。描きたいことはわかる反面、雑多な登場人物がわちゃわちゃして作品全体の焦点がぼやけてしまっているのは少し残念でした(でも、個人的に橋本さんの作品で一番好きな「スーツを脱いだら」の2人がちょい役で出ていたのは嬉しかったです)。

 

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