ぬかるみ読書録

電子書籍で読んだ商業BLの感想をぬるぬると更新するだけのブログ。

『おれの可愛い暗殺者』さかもと麻乃

生まれてからずっと不幸な人生を歩んできた志賀は、同棲していた元カレの作った借金を抱え、「生きる」興味も失いつつある日々を過ごしている。ある日、目の前に現れた超好みな男は、志賀を殺すために遠い星からやってきた“宇宙人”で“暗殺者”。10歳年下の暗殺者くんと志賀は、ふつうの恋人同士のようないい雰囲気で……!? 

収録作品:「23億光年宇宙の旅」「23億光年の忘れ物」「23億光年向こうの赤い糸」「(描き下ろし)オレの年下の彼氏が可愛い。」「(描き下ろし)僕の年上の彼氏が可愛い。」、あとがき、電子限定特典(1ページ漫画)

感想:

心中に失敗して生き残り、借金に追われブラック企業に使い倒され、ゲイをカミングアウトしたため親とも縁遠くなっている志賀。その志賀を殺すためにやってきた宇宙人も、家族と恋愛に関しては不幸なバックグラウンドを持っていて、設定自体は重め。ですが絵柄や描きぶりのせいかあまり深刻な雰囲気は漂わず、全体としてポップな印象です。続編以降のラブラブフェーズではそのポップさがいい感じなのですが、いかんせん本編だと、重さと軽さのバランスが微妙。ストーリー展開も、何かイベントが起こるわけではなく、2人の口からそれぞれ秘密が語られるだけの比較的平坦なもので、全体として可愛いけれど薄味な印象が残りました。「β地球」という地球の鏡像的な惑星に、地球で暮らす人々のドッペルゲンガー(同じDNAを持つ人間)が暮らしていて、「β地球」で罪人を死刑にする際は地球のドッペルゲンガーも殺さないといけない、という設定自体は面白かったのですが。とはいえ童顔年下ファザコン攻(宇宙人)は可愛らしくて、いちいち志賀がキュンキュンする気持ちはよーく理解できます。

「23億年向こうの赤い糸」は本編のスピンオフ的なお話で、舞台は「β地球」(地球の鏡像的な惑星。本作の「宇宙人」の出身地)。包容力ある大人攻(実は本編のとある人物のドッペルゲンガー)と子供っぽい黒髪受がわちゃわちゃする話。個人的にはこっちのカップルの方が好みだったので、もうちょっと長いお話で読みたかったです。

濡れ場はあるけどあっさり目。特に修正を要するようなものではありません。

 

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