ぬかるみ読書録

電子書籍で読んだ商業BLの感想をぬるぬると更新するだけのブログ。

『君と僕のミドリとドリル』イシノアヤ

田舎の実家カップル、両想いのその先は? 私塾の先生・樟一と近所に住む海は、幼なじみで恋人同士。もっとイチャイチャしたいのに真面目でカタブツな樟一はつれない態度でちょっと拗ね気味な海。あるとき、樟一が急に見合いをすることになってしまって――?

カタブツ三十路(塾講師)×大人甘えっ子(幼なじみ)ちいさく積み重ねた「好き」が「愛しさ」に育つ、田舎町でのスローライフラブ 

収録作品:「僕と君のミドリとドリル」「僕と君と家の中」「僕と君のアイミスユー」「僕と君の冬と春」「僕は君と恋物語」「(描き下ろし)オマケ」

感想:

田舎町で生まれ育ち、暮らす2人の生活と恋愛が淡々と等身大で描かれる、読んでいて気持ちいい作品でした。穏やかな日々の中、喧嘩や嫉妬といったちょっとした凹凸を乗り越えて関係は深まっていきます。ドラマチックさはありませんが、こういう作品にはこういう作品の良さがあると思います。

ショウちゃんとカイというカップルだけにフォーカスするのではなく、割とワイドに、ショウちゃんの母親久美さんとその恋人信二くん、同級生の(中華料理屋)西山夫妻、医者のイツキくん、ショウちゃんの教え子たちなど、町の人々との関わりの中での2人が描かれているのには特に好感を持ちました。ショウちゃんは朴念仁ですが、内心は優しくて、特に(おそらくシングルマザーとして彼を育てたのであろう)母親への態度など見ていてじんわりくるものがあります。だからこそ、カイとの関係はまだまだ内緒、なのでしょうが、幼馴染連中にバレバレなところを見ると町公認になるのも遠くないような。そんなショウちゃんの気持ちを理解しながらも、ときどき不安に襲われるカイも、男らしさと可愛さが程よく入り混じった素敵なキャラクターでした。ていうかいつもカイから迫るから、途中までどっちが攻か悩んじゃったよ!

濡れ場は匂わせる程度で、直接的な描写はありません。せいぜいキスや、ちょっと色っぽい表情や、布団の中での睦言くらい。でもこの作品にはこのくらいが適当かな。

 

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