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ぬかるみ読書録

電子書籍で読んだ商業BLの感想をぬるぬると更新するだけのブログ。

『起こらなかった恋についての物語』カシオ

まだ性にも目覚めていない頃、兄・賢太郎が家庭教師の男にいたずらされているところを弟の勇次郎は目撃してしまう。咄嗟に家庭教師を殴り飛ばすも、兄を庇い殴った理由を最後まで口にしなかった勇二郎は、家族から問題児のレッテルを貼られてしまった。事件は二人だけの秘密となったが、それ以来、勇二郎は兄を避けるようになり……。 

収録作品:「起こらなかった恋についての物語」「彼らにまつわる2、3の事柄」

感想:

待ってました、カシオさんの新刊です。表題作は仄暗い兄弟もの。兄と家庭教師のただならぬ現場を見てしまってから兄を強く意識すると同時に心を閉ざす弟。弟へのやり場のない欲望をたの人間との関係に向ける兄。表題作ですが1話完結の短編なので物足りないかと思いきや、そのあたりはさすが。短い中にスリリングな関係性と展開がみっちり。終わり方に対しては賛否両論あるかもしれませんが、緊張と感情が高まって高まって最高潮で余韻を残して終わるドラマチックさがとても良いと思いました。

分量的に多くを占める「彼らにまつわる2、3の事柄」は、教師と生徒とその兄メインの、ややラブコメ風味で可愛いお話。生徒(攻)の友人同士の恋愛未満?な瑞々しいエピソードも入っており、ある意味カシオさんの描く青々しく切実でちょっとキュートな恋愛話の真骨頂。ではあるのですが、なにしろ表題作の印象が鮮烈すぎて、ちょっとこちらが薄味に思えてしまうくらい。いずれにせよ、恋に溺れる人間の切実さや暴かれる感情を描かせると、カシオさんはやはり並外れてるなと思わされます。

残念ながら、濡れ場は周囲含めてのがっつし白抜き。不満があるとすればその点だけでしょうか。

 

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