ぬかるみ読書録

電子書籍で読んだ商業BLの感想をぬるぬると更新するだけのブログ。

『家庭の事情で襲われてます』三月えみ

「入るかな、俺…“こっち側”初めてだから…」
憧れの芸能人・二階堂奏に、会社帰りに偶然出会った銀行員の黒木裕真。
気付けば流されて一夜の関係を持ってしまったのだけれど…
後日、母親の再婚相手である、自分の上司・三和が連れてきたのは新しい家族になる義兄…って、まさか二階堂奏!?
カラダから始まった二人の新しい家族関係とは? 

収録作品:「家庭の事情で襲われてます」、Renta!購入者特典(4コママンガつきイラストペーパー)、あとがき(カバー下)

感想:

「兄さんとセフレの関係」というタイトルで単話連載されていた作品が改題+単行本化。最初の方ちらっと読んで、コミックス化を待っていました。

芸能人の母と銀行員の父(離婚済)を持ち、複雑な家庭環境の中、父親にこじれた愛情を抱くと同時に倫理観をおかしくしてしまっている奏。そんな奏がDJを務めるラジオ番組の熱心なリスナーで、人に言えない家庭の悩みなどをラジオを通じて奏に相談することで救われてきた裕真。そんな2人が偶然の出会いから体の関係を持った後で、親の結婚により兄弟になってしまう、という人間関係自体はなにやら複雑。

序盤は奏でのミステリアスな部分も魅力的で、いびつな兄弟関係の色っぽさ含めて非常に良かったのですが、徐々に(というか、主に奏の母である響が出てきてから)はドタバタコメディ色が強くなり、結局シリアスとドタバタコメディが入り混ざった謎な雰囲気のまま結末まで突っ走ってしまいます。家族関係に問題を抱える響と、実の父を亡くした傷がふさがりきらない裕真、そして周囲の大人たちも、ぶつかりながらも新しい家族のかたちを作っていくことで救われていき、実に良い話なのですが、個人的には終盤のトンデモ展開に若干置いていかれてしまった部分もあるような……気もしましたが、みんな幸せそうだからまあいいか。

すっぽり白抜きは残念ですが、濡れ場は回数もあり色っぽいです。特に、人間関係をコントロールするためにセックスも主導したがる奏が、裕真との関係でペースを乱されていくあたりはツボでしたし、最終話のラブラブな2人(そして容赦ないマリンさん)も良かった。三月さんの描く濡れ場は好きなので、お腹いっぱいです。ああこれで白抜きでさえばければ。

 

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