ぬかるみ読書録

電子書籍で読んだ商業BLの感想をぬるぬると更新するだけのブログ。

『フェイクファー』虫歯

『セックスもできる友達』関係だった烏星と雨井。突然ハワイに行きたいと言い出した烏星を雨井が連れて行った先は、はわい町だった。小さな町の小さな家に辿りつくふたり。そこは、雨井が幼い頃、自分を置いて行った母親と暮らした家だった――。置いていかれても笑おうとする男と、自分と向き合うのが苦手な男は、少しずつ大きくなる自分の気持ちに翻弄され――!? 

収録作品:「FAKE FAR」「ばかのはかば」「フェイクファーの季節」「フェイクファーはちかく」「週刊少年ボーイズラブ」「週刊少年ボーイズラブ 後日談」、あとがき

感想: 

初読、というか初コミックスだそうです。表紙の雰囲気が良いので買ってみました。「FAKE FAR」〜「フェイクファーはちかく」までが表題作シリーズです。うっかり肉体関係を持つようになった友人同士。烏星は奔放でありながらどこかゲイである自分を抑圧しているタイプ。少年時代は「男とセックスすれば世界が変わる」くらいのことを思っていて、でも実際はそんなに簡単なものではなく、真剣な恋愛関係を人と結ぶことができません。一方の雨井はそんな烏星に惹かれながらも、かつて肉親に置いて行かれた経験からどこか一歩引いて、物分かりの良さを演じてしまうタイプ。少しずつお互いに感情を出し、思いを伝え、殻を破っていく過程が丁寧に描かれているのに好感を抱きました。ストーリーの進め方にはややぎこちなさというか、こなれていない感じもありますが、シリアスさと呑気さの緩急のつけかたは上手く、今後にも期待したいです。

併録「週刊少年ボーイズラブ」は、高校の部活のチームメイト同士の、可愛くてちょっとバカな「性春」まっさかりなお話。受の五反田くんがピュアでアホ可愛くて萌えました。いい、五反田くんいい!

濡れ場もちょこちょこあり、けっこう色っぽいです。白抜きが残念。