『12時からはじまる』左京亜也
初めて自分に性欲があることを知った。その初めての恋を失って、あれダメこれダメNGだらけのゲイになった俺は、夜だけ、バー『タマヤ』を経営してる。そんな俺の前に、もう顔も忘れてたはずの男が現れた。腹が立つ程エロい肉厚の唇で、あの日のように俺を呼んだ。
「変わんねーな侑は」
俺は変わってたかったよ。羽田。お前を好きだった俺とは別のもんになりたかった。
左京亜也が描く、うそつきな大人の終われない初恋の物語。
収録作品:「12時からはじまる」「12時すぎにつかまる」
感想:
過去にわだかまりある相手と再会し、熱烈なアプローチでほだされていくという安心安定のテンプレで、1冊丸ごと表題作なので関係性もじっくり描かれているはずなのですが、とにかくストーリーが進まない。というか「好きだ」「いやだ」(←これで連載一回分)「好きだ」「やめろ」を何回か繰り返して、セックス!和解!みたいな。クロネコ彼氏も、展開で見せる作品ではなく様式美*1のマンガなので、ストーリーを求めるタイプの作家さんではないのでしょうね。
あと、ぱっと見きれいな気もするのですが、というかぱっと見きれいな分、絵の狂いがとても目立ってしまう気がします。デッサン狂っててもなんとなく気にならないタイプの作家さんもいる一方、見ていて集中できないほど気になってしまう作家さんもいて左京さんはわたしにとって後者。せっかく色っぽい濡れ場も、絵にアラがあるとちょっと興が冷めてしまいます。
雑誌掲載時のカラーページが電子版のみカラー収録されているのは、電子書籍派としては嬉しい取り組み。クロネコ彼氏シリーズほどではありませんが、濡れ場はちゃんとあります。ただアニメイトブックストアではがっつり局部白抜きされているので、気にされる方は他の販売サイトの状況を確認したほうが良いかと思います。