ぬかるみ読書録

電子書籍で読んだ商業BLの感想をぬるぬると更新するだけのブログ。

『きゃっつ〜四畳半ぶらぶら節〜』羽生山へび子

其処は大江戸、柳町。煩い大家の長屋の一角に住まうは、仕事もせずぷらぷら過ごし、隙あらば色仕掛けしてくる居候・弥源治と、そんな弥源治を養う人気魚売りの清二だ。けれどある日、弥源治が子猫を拾ってきて? 

収録作品:「弥源治、子猫を披露」「ぼん、手習いへ行く」「まる、ひかりをみる」「誠二、盗人に惚れられる」「弥源治、縛られる」「(描き下ろし)弥源治、身から出た錆を食う」、カバー下(マンガ、あとがき)

感想:

浮世絵の猫っぽい表紙が印象的。大洋図書のWebで連載している作品とのことで、江戸を舞台に猫(擬人化されてますが表紙のとおり顔は猫)漫画というBLとしてはかなり異色。中身もBLというよりはお江戸人情物コメディですので、ラブとエロを求める方にはあまりおすすめできないかも。でもマンガとしてはとても面白いので、気になる方はWeb連載のページで雰囲気を見てから購入するか決めるのが良いのかもしれません。

お江戸人情物としては、話もしっかりしていて登場人物も魅力的。貧しかったり、家族に恵まれなかったりする登場人物たちがときに誤解や世の世知辛さに触れながらも思い合い助け合って生活していくさまは、普通に人を使って漫画にするとややベタすぎるかもしれないくらいベタな人情話で、だからこそ猫モノまんがにしてしまった方がバランスも良いように思いました。

中身は実に猫なのですが、表情や居住まいがなんとも言えなく色っぽいのはさすがへび子さん。ぎりぎり恋愛関係でないのが色っぽい清二と弥源治ですが、今後関係が進展するのかしないのか、気になります。