ぬかるみ読書録

電子書籍で読んだ商業BLの感想をぬるぬると更新するだけのブログ。

『初恋の嵐』凪良ゆう(表紙イラスト:木下けい子)

 

初恋の嵐【SS付き電子限定版】 (キャラ文庫)

初恋の嵐【SS付き電子限定版】 (キャラ文庫)

 

 俺は将来、悪徳弁護士になって金を稼ぐんだ!!」大学生と偽って蜂谷の家庭教師に現れた同級生の入江。目的のためなら年齢詐称も厭わない現実主義者だ。有名ラーメン店の跡取りで、将来が決まっている蜂谷は、自分と正反対な入江に驚かされてばかり。共にゲイだと知っても「お互い範疇外だ」と言い続けていたけれど!? 築き上げた友情の壁は簡単には崩せない――こじらせまくった永い初恋。

収録作品:「恋にはまだ遠く」「大学デビュー」「初恋の嵐」、あとがき、「(電子版特典)入江孝之の最高で最低な1日」、(※本文挿絵なし)

感想;

凪良さんの作品を読むのは5作目くらいでしょうか。細やかな筆致を魅力だと思う反面、ほのぼの系シリアス寄りのお話だとせっかちなわたしには少しまどろっこしく感じてしまいます。テンポ良く読める軽めのの作品の方が好みかな、といいつつ『美しい彼』のような例外もあるわけで、わたし自身全然一貫していないのですが。

高校時代の出会いから友情を深め、ようやく進展しそうになってむしろどん詰まりに突っ込む大学時代、そして社会人。理知的で現実主義者なようでいて、すっとぼけた鈍感ヘタレ攻の入江と、明るくてちょっと抜けたお坊ちゃん然とした、一途だけど恋愛には怯えがちな蜂谷。長い長い初恋のお話ですが一切中だるみなく、焦れたり苛立ったり萌えたりしながら最後まで読み終えました。電子では温泉ショートの特典がついていますので、紙書籍でお持ちの方も関心があればどうぞ。

理屈っぽいのに感情面ではアホな入江の不器用さは、とにかくツボでした。陸上長距離の有望選手でありながら実はオネエの幼馴染や、異様におめでたい蜂谷の母親など、端々に濃いキャラは出てきますが、全体としてコメディタッチなのであまり気になりません。むしろ軽いノリとメイン2人の切実な感情のギャップが魅力といっていいくらいかも。長い間入江の鈍感さに振り回された蜂谷、今度は怒涛の愛情表現に振り回される日々が続くのでしょう。お幸せに。

 

↓↓凪良ゆうさんの他の作品の感想も書いています↓↓