ぬかるみ読書録

電子書籍で読んだ商業BLの感想をぬるぬると更新するだけのブログ。

『肉食男子×草食男子』北畠あけ乃

ハーフで眉目秀麗、周りから常に熱い視線を集める大学生の大和は、ネガティブで人見知りで友達もいない。でも、大和には唯一心を許せる相手がいる。大和とは性格が正反対の貞治だ。しかも、大和は貞治と一緒に暮らしている。大和は対等の立場でいたいけれど、何かと世話を焼いて大和を甘やかす貞治。そんなふたりの関係とは──!? 

収録作品:「肉食男子×草食男子」「(番外編)抱きまくら」

感想: 

表紙の綺麗な絵柄に惹かれて購入、初めて読む作家さんでした。中身も見やすく綺麗な絵柄に、義兄弟の焦れ焦れなラブストーリーでとても良かったです。ちょっと白めの画面も雰囲気にフィットしているので気になりません。

両親の再婚で兄弟になって15年経つ同い年の2人、世話焼きの兄・貞治と人見知りの弟・大和。貞治は長い間大和に恋愛感情を抱いていて「自分たちは兄弟である」一点のみがストッパー。一方で人見知りで世渡り下手な大和は、万事「兄貴ヅラ」で世話を焼いてくる貞治にコンプレックスを抱いています。2人がそれぞれ抱いている兄弟という関係性への違和感が肥大し、とうとうバランスを崩してしまう過程がていねいに描かれています。

タイトルで強調されるほど肉食、草食というわけでもなく、どちらかといえば2人とも可愛らしいタイプ。性格的に活発な貞治が攻で大和が受というのはもちろんしっくりくるのですが、身長は大和の方が高く、わたしとしては珍しく「どっちが上でもいいな」と思ってしまうカップルでした。

全体的に満足な一冊ですが、残念な部分を挙げるとすると、脇キャラクターの絡ませ方。いかにもBLの脇キャラ的なご都合的女子もですが、終盤、恋愛関係に踏み出そうとする2人と両親とのエピソードは、まあコメディと思えばいいのかもしれないですが……雑というか「いいのかそれで」という気持ちでいっぱいになりました。あと、ギリギリの綱引きが色っぽい2人ではありますが、最後にもうちょっと肉体的ないちゃいちゃが見たかった! もう一歩サービスが欲しかった! そっちの意味ではあっさり目の作品なので、濡れ場がっつりがお好みの方は要注意です。