ぬかるみ読書録

電子書籍で読んだ商業BLの感想をぬるぬると更新するだけのブログ。

『ステイルメイト』青山十三

大好きなチェスをするため、子供のころから叔父・千晴の家に通い詰めている伸一は、あるとき胸の奥にあるもうひとつの想いに気づいてしまう。ただ気持ちを伝えるためだけに、千晴にチェスの勝負を挑む伸一だったが…。

収録作品:「ステイルメイト」「フールズメイト」「オーバーステップ」「チェックメイト」「デートしよう!」「手をつないで一緒に」「猫と仲良くなる方法」「擬人化でいこう!」「DSL×PSPその後」「マボロシ一景」「実録! 擬人化講座」、あとがき

感想: 

「靴屋シリーズ」が良かった青山十三さんの初期の作品集。「ステイルメイト」から「デートしよう!」までは、叔父x甥もの(血縁なし)シリーズ、髭面タバコ半自由業のワイルドな叔父さんと、黒髪眼鏡の真面目でウブな高校生のカップルです。

叔父の千晴の中では自由人っぽさと「叔父」としての責任がせめぎ合い、伸一は一見抑制的なタイプでありつつ子どもらしく一本気で無茶なところも。シリーズの中で伸一は大きく成長し、後半は千晴の方が引っ張ってもらっているくらい。こういうのも年の差ものの醍醐味だなあと思います。「手をつないでいっしょに」は伸一の弟・伸二郎と従兄弟の智の再会もので、成長して役所の職員になった伸一の姿も拝むことができます。

「猫と仲良くなる方法」は、猫好きなのに猫に嫌われる強面男子高生と、彼に猫との付き合い方を教える猫耳男子のかわいいお話。さらに無生物擬人化萌えに関するエッセイ漫画など収録されており、バラエティ豊かな一冊でした。