ぬかるみ読書録

電子書籍で読んだ商業BLの感想をぬるぬると更新するだけのブログ。

『橙のレシピ』ヤスエイ

「いつのまに、こんな好きになっとったやろう。」

甥と叔父、お互いたった一人の家族だから、自分の想いを伝えられない――。

大阪の実家を出て東京の大学に通う亨は、会いたくても会ってはいけない想い人がいる。自分の想いを打ち明ければ、傷つけてしまう大切な人。両親を亡くしてから自分を育ててくれた13歳年上の美しい叔父・幸彦に、亨は叶わない恋をしていた。この想いを忘れようと、他の人を抱いても、幸彦の影は亨の中から消えてくれなくて――。
罪深い想いを抱いた叔父と甥の恋を描いたセンシティブ・ストーリー。

収録作品:「橙のレシピ」「橙のレシピ その後(描き下ろし)」

感想:

大阪の、ちょっと古い日本家屋で暮らすいびつな家族の、いびつな恋の話です。家族の喪失、身内への愛情と絶望、傷つける恋愛、がっつりメロドラマです。最終的にメインカップルはハッピーエンドなのですが、そこに至るまでに失われた人や傷ついた人が多すぎて*1、重さに途中で泣きが入りそうでした。いいお話だし上手いんですが、上手いからこそ読んでいてしんどくなるというか。少なくとも当て馬未満で終わった先生には幸せになっていただきたいです(先輩はろくでなしなので、知ったこっちゃないです)。

とネガティブな書き方をしてしまいましたが、メインカップルに関してはキュンキュンくるし濡れ場も(心が荒むような濡れ場もありますが)色っぽいです。もう後は幸せにおなり! という気分で本編最終話を読んだ後の描き下ろしも可愛くてラブなお話なので単話版でご覧になった方も、コミックス読まれたら良いのではないかと思います。

 

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*1:小心者のわたしは周辺人物が巻き込まれすぎるのは怖いので、メイン2人だけがベタベタに自分たちの恋愛に酔って傷つけ合っているくらいのほうが安心して読めます。そして個人的な好みとして、近親ものはぶっとんだドリームBLやコメディの方が楽に読めます。