ぬかるみ読書録

電子書籍で読んだ商業BLの感想をぬるぬると更新するだけのブログ。

『客と家族になりまして』フジサワユイ

大金持ちの元客が義兄になった――!?天涯孤独になった蓮司を大財閥の跡取り・宏が突然迎えに来た。「祖父の遺言で、君は今日から城之崎家の一員だ」そう話す宏は、かつて蓮司を一晩買った客だった――。しかし、家族として再会した宏は、あの夜を忘れたように、「兄弟」として蓮司をかわいがる。疼く熱をもてあました蓮司が誘惑しても「弟は抱かない」と拒まれるばかりで……!? 

収録作品:「客と家族になりまして」「Bonus truck」、電子限定おまけ(1ページまんが)

感想:

ゲイバーのバーテン(兼「売り」)が、実はかつて自分を買った男の義兄弟(父親の妾腹)だった、というお話。「家族」としての関わり方を知らない蓮司はセックスでしか関係性を作れないし、彼を大事に思うからこそ宏は手を出せない。こういう焦れ焦れな感じ、好きです。

第1話から飛ばす展開ですが、その後もときにコミカルにテンポよく話が進みます。この手のウェブ連載って「1話に一回エロ入れるの苦労してるんだろうなあ」というのが見え見えになりがちですが、そのあたりはギリギリバランス取れているように思えます。。

絵が荒削り(&白抜き修正)なので、濡れ場にエロスを感じるかは微妙。絵と、蓮司が宏に執着する過程がもう少し丁寧に描かれていれば、もっとずっと良くなっていたかな。全体としては「及第点」くらいの感じですが、ポテンシャルは感じる作家さんです。