ぬかるみ読書録

電子書籍で読んだ商業BLの感想をぬるぬると更新するだけのブログ。

『傘を持て』たうみまゆ

ヤクザの組長の家に生まれたことに悩み、荒れていた高校時代。そんな城田を救ったのは同じクラスの優等生・畑中のひと言だった。その後、一流大学に進学した畑中と組に入った城田だったが、なぜか畑中は城田との関係を切ろうとはせず、キスを交換条件に仕事を手伝うように。輝かしい未来が約束された男が、なぜ自分のような人間に固執するのか……。しかも、大学を卒業した畑中は、城田を追って組に入り──……。

収録作品:「傘を持て」「逃避行編」「陽炎編」「真面目長屋」、あとがき

感想:

やわらかいお話の印象が強いたうみまゆさん、今回はヤクザものです。表紙も口絵も素敵で、本編に入る前から期待高。

ヤクザ家業が肌に合わない気の優しい城田。そんな城田に恋に落ち、城田を守るために組に入る畑中。畑中は登場時点では多少厨二病っぽい程度の印象でしたが、人格的にぶっ壊れています。ヤクザ稼業が性にあわず苦しんでいる城田を守り続ける畑中が、その献身で城田を追い詰めて「畑中以外のすべてを捨てる」日を待ち望むというのは純愛というか病的というか。でも逆に畑中の献身が城田を組に縛り付けていた部分もあるように思えるんですけどね。

ストイックな任侠ものの本編のヒリヒリした雰囲気はもちろん、逃避行に出た後の2人(ちゃっかりものの畑中と、そんな畑中に呆れたりほだされたりする城田)の関係も微笑ましくて良いです。そして、終盤めきめき存在感出してきた金本と鈴木の関係性がまたツボでした。やっぱりヤクザものの真髄は(身分上の)下克上ですね!

 

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