ぬかるみ読書録

電子書籍で読んだ商業BLの感想をぬるぬると更新するだけのブログ。

『その唇をひらけ』三池ろむこ

たまきは、幼なじみの慎司が好き。最近は、じゃれたり抱きついてくる距離の近さにも緊張する始末。これじゃダメだと「慎司離れ」を決意したたまきだけどかえって会いたくなっちゃって……。描き下ろしも大充実!! 

収録作品:「その唇をひらけ」「どうしても」「ドロップアウト」「アウトオブチューン」「アウトチェンジ」「なんにもわかっちゃいないのね」「それでもわかってほしいのさ」「春よ、こい」「アウトワールド」、あとがき

感想:

特に後半はごく短いお話ばかりが収録されているので、かなりあっさり風味の短編集です。一番古いもので2006年の作品なので絵柄も画質もかなり粗め。三池さんのコミックをこれから読むなら、新し目のものから始めた方が良いかと思います。

ただお話自体は全体的に爽やかで可愛らしくて、昔の短編集だと割り切れば楽しむことができます。幼馴染に恋して1人ぐるぐるしている(つもりの)受と、一方で必死で気持ちをセーブしていた攻の表題作シリーズは、抑えてきた気持ちの発露と、タガが外れて強引になる攻がツボであればぐっとくる良い意味で王道。

家庭教師と生徒もの3作(「ドロップアウト」「アウトオブチューン」「アウトオブチェンジ」)も、分量があるので、攻と受それぞれの(主に対人面での)成長を感じることができ、地味だけど満足できるお話でした。その後はショートばかりですが、人に恋する黒猫と、その黒猫を(体から)篭絡しようとする白猫のお話は、アホエロかわいくて、この本で一番好きかもしれません。

可愛い絵柄の割に濡れ場がけっこう色っぽいです。