ぬかるみ読書録

電子書籍で読んだ商業BLの感想をぬるぬると更新するだけのブログ。

『透過性恋愛装置』かわい有美子(表紙イラスト:花本安嗣)

 

透過性恋愛装置 (クロスノベルス)

透過性恋愛装置 (クロスノベルス)

 

若手建築士として注目を浴び、己れのルックスにも自信を持っていた北嶋は、とあるコンペでホテルマンの牧田と出会う。その落ちついて控えめな物腰を軽んじ、コンペで最優秀賞を逃したことで牧田にいちゃもんをつける北嶋だったが、常に大人の余裕を持つ牧田に諫められ高慢な鼻をへし折られてしまう。それをきっかけに牧田の人間性に触れ、恋に落ちてしまった北嶋は、思い付く限りの策を弄するのだったが…。

収録作品:「透過性恋愛装置」「Night&Day」、あとがき(本文挿絵なし)

感想:

『上海金魚』のスピンオフですが、ストーリー的に関わりはほぼないので単独で読めます。『上海金魚』のしっとりしていて素敵なお話ですが、勢いと萌えでは断然こちら。

タイトルそのまま「恋愛にはまって見え見えな努力を繰り広げる」受に笑ったり呆れたりときめいたり。生意気でプライドの高い北嶋が仕事で鼻っ柱をへし折られたのをきっかけに年上で落ち着いた牧田に惚れるのですが、 北嶋がとにかくアホ可愛いくて健気。牧田の気を引こうとする様々な行動は子どもじみていて読んでいるだけでイラッとしてしまうくらい。でも心底健気なので、読み進めるうちに牧田同様ほだされて「ムカつくガキ」が「アホ可愛い」に変化していくのです。無闇に気を引こうとするだけでなく仕事で認められようとする頑張り屋なところがあるのも、ギャップ萌えなのかもしれません。乙女受けな気配もありますが、いいんです可愛いから。

落ち着いた大人風な牧田も、実際は食えないエロ親父です。そのギャップが激しいからこそ、抑制的な流れから終盤、番外の濃厚な濡れ場がより引き立っている気がします。ストーリー良し色気も十分で、実に満足な作品です。

 

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