ぬかるみ読書録

電子書籍で読んだ商業BLの感想をぬるぬると更新するだけのブログ。

『甘党な彼の無口なコイゴコロ』ザイム

カフェでバイトをする古沢徹平には気になる客がいた。職場の人間によると徹平のシフトが入っている日にしか、カフェを訪れないらしい。名は江刺駿。新進気鋭の画家らしい。そのクールな見た目を裏切って注文するのは、チョコレートパフェとカフェモカ。甘党なんだろうかと思っていたら、諸事情で無理やりキスをされてしまうハメになり、そして彼は一言。「あまい……」貞操の危機を感じた徹平の起こした行動とは……!? 

収録作品:「甘党な彼の無口なコイゴコロ」、番外編、あとがき、+特典漫画(4ページ)

感想: 

はじめて読む作家さんでした。表紙のぼんやり感に加えタイトルがこれなので(もう少しどうにかならなかったのか)あまり期待せず購入しましたところ、しょっぱなから攻の江刺のキャラが不穏すぎて一気に引き込まれてしまいました。

不機嫌な顔でパフェを頼む無口な男かと思いきや、いきなり愛想よく面倒な女性客から受を救った勢いで家に連れ込み押し倒して「俺と一緒に死んでくれよ」。BL漫画の攻の鏡のような突破力……をさらに突き抜けたキャラクター。受は素朴な元気っ子系で本来好きなタイプではないはずが、振る舞いの男の子らしさには好感。

が、そこから先はちょっと尻すぼみというか盛り上がりにかけるというか、コメディタッチで読みやすいもののまだまだ荒削りな部分は目立ちます。展開もやや唐突だし、テロップ使いが謎だったり。店長や画商といった脇キャラが絡んでくる割にイベント性が薄くて、なんだかよくわからないうちに受がほだされていました。キャラクターは良いのでお話がもう少し丁寧だとよかったなあ。「無口な」という割に江刺、よく喋るし。

濡れ場はちょこちょこありますがきわどい部分は描きこんでいないパターン。しかし表情や描写は色っぽいです。