ぬかるみ読書録

電子書籍で読んだ商業BLの感想をぬるぬると更新するだけのブログ。

『お手を拝借』佐久本あゆ

重度の変態手フェチ男、同じ大学に通うクラフト科1年の有村聡は図書館で偶然手が触れてからというもの「理想の手だ」と勝手に運命を感じ、毎日湯浅(の手)に会いにくる。ウザイと思いつつも、制作に対する純粋な思いを知りデッサンをさせてやることに。そんなある日、有村の目の前で指を切ってしまった湯浅は、「消毒」と称して執拗に指を舐められ、思わずドキドキしてしまう。と、同時に自分の指を舐めながら股間を膨らませている有村にドン引き!! 「手」にアタックを繰り返していた有村が「本人」に興味を持ちはじめ、「手」しか見てもらえない湯浅がもどかしさを感じはじめて――。 ふたりの関係がいつしか恋に変わる…かもしれないフェティッシュラブ★ 

収録作品:「お手を拝借」「(描き下ろし)お手を拝借〜after〜」、あとがき

感想:

今流行りのすっきりとした、きれいで見やすい反面ちょっと個性には欠ける絵柄です。この手の画風好きなので歓迎ですが、たまにどれが誰かわからなくなります。

美大を舞台に、手フェチのワンコ系後輩に「手」に惚れられたツンデレ美人が徐々にほだされていく、全体的に軽く読めるラブコメです。「顔にしか興味を持たれない」コンプレックスを持っていた受というのはよく見る設定ですが、そこで「手にしか興味を持たない相手」に見込まれるのはやや変化球。とはいえ結局「内面を見てもらえない」ことには変わらないので、展開としても地味攻とツンデレ受の王道です。キャラクターの懊悩もあっさりめで、当て馬らしき人物もほぼ不発なので、やや話が平坦な印象。もう少し盛り上がるエピソードがあっても良かったような。

誠実ワンコ攻だとハマりそうな作品ですが、わたしはもうちょっと毒のある攻の方が好きかな。外見的にも湯浅の友人である美少女オタクの加藤くんの方が好みだったので、内心「こっちが攻だったら100倍萌えたのに」と勝手なことを考えながら読んでいました、すみません。

指を舐めるシーンと最後の濡れ場、尺は十分とっていますが、色っぽさを感じる描写ではありませんでした。修正は局部白抜きです。