ぬかるみ読書録

電子書籍で読んだ商業BLの感想をぬるぬると更新するだけのブログ。

『運命ってことにしませんか?』倫敦巴里子

容姿端麗で性格は穏やか。趣味もあうし、なにより一緒にいて楽。恋人に求める条件としては完璧――ただし、男でなかったらの話。

平凡なサラリーマン悟嶋とイケメンだけど常に無表情でおたくな藤原。出会いは、数合わせに行った合コンだった。藤原の色んな面を知るたびに、悟嶋の中には言いようのない感情が芽生えた。ああこれが男女だったらきっともう、つき合って結婚だって考えてたはず。いやこの人なら……男でもありかもしれない?

ごくごく自然に惹かれあうリーマン同士の恋のお話ほか、元教え子との再会愛、切ない社会人ラブなども収録。

収録作品:「運命ってことにしませんか?」「まったりエマージェンシー」「君の声が聞こえる」「月の裏側」「あおげばとうとし」、あとがき、カバー裏(4コマ)

感想:

少し古めの短編集ですが今回電子化。表題作とその続編である「まったりエマージェンシー」は、人見知りリーマン同士のちょっと噛み合わないところもある恋愛をゆったり描いています。「気の合う友人」と「恋人」の狭間でぐるぐるする受も、美形だけど天然で一生懸命尽くそうとしたり色っぽい空気作ろうとしたりしているつもりが全面的にから回っている攻もかわいらしいです。

「君の声が聞こえる」は、研究者と元留学生元通訳者の焼けぼっくいもの。わだかまっていた誤解の設定自体は定番ものですが、受のアキラくんのビジュアルと素直じゃない仏頂面にたいそう萌えました。先生はオールバック似合わないのでやめた方がいいと思います。

「月の裏側」は、同僚女性に片思いして出歯亀する男(攻)と、彼に恋する同僚男性(受)の話。横田(攻)の能天気さがうざいといえばうざいのですが、飛鳥(受)の健気さが可愛くて可愛くて。これは実に良い短編だったと思います。

「あおげばとうとし」はオマケていどのごくごく短いお話ですが、メガネ男の女装(ブレザー制服)が好きな方には楽しいかと。