ぬかるみ読書録

電子書籍で読んだ商業BLの感想をぬるぬると更新するだけのブログ。

『Powder Snow Melancholy』束原さき

――お前、そんなに俺のことキライ? 大学のミスターコンテストがきっかけで知り合った梁井と成川。性格も含めて2.5枚目の梁井にとって、正統派イケメンの成川は天敵そのもの。お目当ての女の子はいつも成川になびいてしまう。八つ当たりや嫉妬から、あからさまに成川を避けていたが、ナンパ目的で参加したボード合宿で、成川と急接近するアクシデントが発生してしまい……。 

収録作品:「Powder Snow Melancholy」「Lingering Snow Melancholy」、あとがき

感想:

雰囲気ある表紙画とタイトルから、もっと繊細でシリアスな話かと思っていましたが、読んでみると絵柄もストーリーもかなりポップでラブコメ風味。一方的に相手をライバル認定して突っかかる生意気受な梁井に、クールなイケメンっぽく見えて実は天然俺様系攻な成川。良いです良いです。

スキー場ものってあまり読んだことないのですが、リフトでいちゃいちゃ(?)といいリップクリームのくだりといい、宿での浴衣姿といい、露天風呂といい、萌えポイントの多さに感動。序盤の展開が急で、スキー場から戻ってからは少し話の流れが緩やかになりますが、過去話の挿入タイミングも適切で、空気読めないなりに梁井に気を遣う成川と、自意識過剰でわたわたする梁井がどちらも可愛くて、後から徐々に心が追いついていく様子を見ながら、こちらとしても攻受2人のキャラに愛着が出てきて良い構成だったと思います。本格的な関係作りはこれから!というところで終わっているのだけが残念な点でしょうか。もっとメロメロに籠絡される梁井が見たかった、見たかったです……。

絵もしっかりしていますし、お話作りも丁寧で、背景(今回だとスノーボード)についてもしっかり描写されていたので今後にも期待したい作家さんです。なお濡れ場の修正は局部(トーン処理)+たまに「刻み海苔」的白抜き。特に気になるほどではありません。