ぬかるみ読書録

電子書籍で読んだ商業BLの感想をぬるぬると更新するだけのブログ。

『2年3組の面々』三崎汐

「いいなおまえらは、大した悩みもなさそうで」大人の目にはそんなふうにしか見えないけれど、一人ひとりのちょっとした「ほんとう」は、ときに格好悪くて、ときに切実。
お調子者でムードメーカーの倉本、陸上バカで走るとき以外は寝てばかりの佐々木、真面目でちょっと口うるさい江崎、可憐な顔にケンカ傷の絶えない滝田、そしてクラスの誰より大人びて穏やかな瀬尾――ある男子校、たまたま同じ教室で過ごすことになった彼らがそれぞれに秘める、愛と懊脳と恋と劣情は……? 

収録作品:「2年3組の面々」「2年3組じゃない面々」

感想:

独特の色使いで1枚絵が映えるので、ついつい表紙につられて手に取ってしまうタイプの作家さん。いやいや中身も良いのです。教育実習生から「大した悩みもなさそうな子ども」と評された2年3組の面々の、青春の軽さと重さと残酷さを、1話ずつフォーカスする生徒を変えつつしっかり描ききっています。もちろん描BL(同性愛)ですし、多少過剰な設定はあるので、経験としてこの話に出てくる生徒たちと重なり合う部分はもしかしたらあまりないのかもしれません。でも、狭い世界の人間関係や恋愛のちょっとしたことがこの世のすべてみたいに思える、あの世代特有の切実さや可笑しさには覚えがあって、読んでいてぐっと締め付けられることも。

モノローグも独特ですごく良いと思うのですが、少し構成がわかりづらい部分や、キャラクターの描き分けが弱い部分があるのは残念です。コマとコマのつながりも決して滑らかではなく、ところどころブツリと間を読ませるような部分もあります。ただこちらについては、その余白を心地いいと思うし、他にない雰囲気につながっていると思うので、このままでいってくれればいいなと願っているところです。

 

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