ぬかるみ読書録

電子書籍で読んだ商業BLの感想をぬるぬると更新するだけのブログ。

『大型新人の教育係』晴山日々子

身長が低いせいでいつまでも新人に間違えられる室宮旭も、ついに新人の教育係を任されることに。頼りになる先輩として厳しく指導するつもりが、28cmも背が高く優秀な後輩に色んな「サポート」をされてしまい!? 

収録作品:「大型新人の教育係」「大型新人と教育係」、あとがき

感想:

初コミックスとのことです。ページをめくった瞬間デジャヴかと思ってしまうくらい、白黒ページの絵が一昔前の猫田リコさんと似ているのは夢……? というのはまあ置いておいて、無口で無骨だけど有能なでっかい新入社員(190cm)x小さくて明るくておっちょこちょいな先輩社員(162cm)の馴れ初めから、気持ちが通じ合うまでを1冊かけて描いています。分量が十分あるのでストーリーや心情描写もしっかり描き込まれていたと思います。ただ、無難にきれいにまとまりすぎているというか、特に目立ったエピソードや際立った部分があるわけではないので、「悪くはないけどよくあるお話」の範疇に収まってしまっているのは残念です。

際立っているといえば攻の瀬良の髪型でしょうか。なんか斜め上方に吹き上がっているけどこれはなんなの? 変形スポーツ刈り? と思いながら見ていましたが、終盤前髪おろした場面を見るとけっこう髪自体長い。わざわざ毎朝あの長い髪を持ち上げるスタイリングしているのか? あのスタイリングは社会人的にOKなのか? といろいろ突っ込みどころはありますが、まあ良いです。

一見そつなく完璧に見える年下攻がふっと失敗したり、子どもっぽさを見せる場面っていいなと思うので、瀬良がでかい図体とあまり動きのない表情なりにドギマギしたり悩んだりするのは可愛かったです。室宮はなんだかんだと瀬良を振り回したり手のひらで転がしたりしていますが、あれは年上の余裕なのか単に情緒のままに動いている天然なのか。

いったんきれいに収まったように見えるお話なので、続編でどう動くのかは少し気になります。なおエロはちょっぴりさらっとですので、あまり期待しない方が良いと思います。