ぬかるみ読書録

電子書籍で読んだ商業BLの感想をぬるぬると更新するだけのブログ。

『求めてやまない』まさお三月

円谷が勤めるカフェに来るようになった横柄で傲慢な男・辰巳。単なる客と店員だったはずが、ひょんなことから円谷は辰巳の家に出入りすることになる。二人で過ごすうち辰巳の素顔を知り、彼に“ある感情”を持ち始めてしまう円谷だが……? 

収録作品:「求めてやまない」「その後1、2」、あとがき

感想:

これも、好きで好きで読み返してはにやにやしてしまう作品です。表紙からして素敵でうっとりしてしまいます。

ほぼ必ずといっていいほどちょっとズレたキャラが出てくるまさお三月さんの漫画、今回は「攻が天然」&「受けがこじらせ」バージョンです。横柄で傲慢で札びらで頰引っ叩く系と見せかけて、メンタル子どもの天然だっただけの辰巳。そんな辰巳に執着され、彼に人間らしい振る舞いを教えこむうちにほんのりとした恋心を抱き始める円谷。円谷は一見人当たりが良く穏やかな好人物ですが、その穏やかさが壁でもあるタイプ。人と感情をぶつけることに煩わしさを感じ、諦観と老成のうちに「欲しいもの」もなくしてただ淡々と生活していたところに、未熟さ丸出し独占欲丸出しの辰巳がぶつかってくるのだから、たまらないでしょう。

冒頭では「面倒くさそうな辰巳と、包容力ありそうな円谷」なのが、読み終える頃には円谷のほうがタチ悪いな〜という感じになってきて、それもまた良いです。店長、星川さん、白石さんの脇メンバーも良い味だしており、「その後」の店長と白石さんにはひそかに衝撃を受けつつも幸せを祈りたいと思います。

まさおさんといえば、「食べ物描写が出てくるのにいまいち何食べてるかわからない」のが特徴の一つですが、今回カフェが舞台なのでメニューという手がかりがある分比較的食べ物の推測がつきやすかったです。一方でいい生活してそうな辰巳が何で食ってるのかは最終的に謎のままでした。気になります。

 

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そういえば『夜が明けても』でも真や卯一郎がよくなんか作って食べてたけど、何食べているのかわからないままでしたね(なんらかのリゾット的なものが多そうな印象)。