ぬかるみ読書録

電子書籍で読んだ商業BLの感想をぬるぬると更新するだけのブログ。

『恋夢ラバー』こん炉

大学生協で日々、忙しく働く三毛谷新。独身。主な業務は学内でのパソコン修理。仕事が終わればまっすぐ家に帰って就寝。その繰り返し。そんな三毛谷の生活サイクルが愛の告白を受けてから以降、崩壊の危機。自分に自信がないせいで相手の気持ちを疑ってしまう三毛谷だったが――……。

収録作品:「恋夢ラバー」「恋夢ラバー その後」、あとがき+Renta!特典まんが(4ページ)

感想:

初めて読む作家さんですが、冒頭でコミュ症黒髪青年が出てきた段階で「これは多分好きなタイプ」とウキウキしながら読み進めました。表紙やあらすじからシリアス一辺倒な話だろうと思っていたのは良い意味で裏切られ、全体としては軽快でコミカルな展開が目立ち深刻な部分も重くなりすぎません。

序盤ではコミュ症な三毛谷が初めての愛の告白を受け戸惑い、交際を始めてからもうまく振舞えないのを年下ながらリア充系の英が温かく見守るエピソードが中心。しかし徐々に英の子どもっぽい部分や欠点も露呈し、終盤では逆にいっぱいいっぱいになった英を年上らしい包容力で受け止める三毛谷を見ることもできるので、最終的には「割れ鍋に綴じ蓋の良いカップルだな」と。完璧なカップルや、どちらかがどちらかに依存しきったカップルより、こういう2人の方が見ていて安心しますね。

絵柄は整っており人物が色っぽいです。濡れ場もけっこうあり、無駄打ちなしで艶っぽいです。修正は全体的に真っ白抜き、かと思えば少し修正甘めの部分があったりもして一冊の中でも少しむらがある印象を受けました。白抜きでも十分色っぽさが感じられたので、まあ満足。これからもチェックしたい作家さんです。