ぬかるみ読書録

電子書籍で読んだ商業BLの感想をぬるぬると更新するだけのブログ。

『過剰妄想少年』ぴい

イケイケ男子×妄想癖ボッチの恥ずかしい学校生活が始まる!――大野くんの特技は“ノット・ハンド・自慰行為”! 自身の妄想によって、触らずとも射精までできるという離れ業で、一人充実したスクールライフを過ごしていた。そこに、クラスの人気者、暮島が急接近してきて──? 周りの女子も巻き込んで欲望と策謀が駆け抜ける、青春。

収録作品:「過剰妄想少年(scene.01-05)」「(番外)過剰摂取少年」「(番外)countdown」あとがき、おまけ4コマ(1ページ)

感想:

地味な高校生大野が手を使わずに妄想だけで授業中に自慰行為に耽っているのを隣の席の暮島に気付かれ、「目の前でやってみせろ」と強要される……という設定は割とぶっとんでいるというかBLファンタジーなのですが、高校生の描き方が実にいい。学校生活や感情の揺れが自然なので、設定の過剰な部分も引っかからず読めてしまいます。目立つタイプでイケイケの暮島は余裕たっぷりに見えつつも、好意を上手く態度や言葉にできない子どもっぽさがあり、想定外のことが起こると学生特有の残酷さと我儘を周囲に振りまくし、大野は大野で変態だし卑屈だし鈍感だし。周囲の女子含めて、皆しっかり高校生らしい青春ドラマをやってるのも実に微笑ましかったです。

暮島が目の前で大野に自慰させるときの言葉責めなど、視覚的な過激さのない部分でもセリフと表情と空気感で色っぽさが出せており、言葉責め好きとしては堪りません。致す場面もそれなりにしっかり描写があるのですが、わたしが読んだRenta!版では割と大きめの白抜き修正されてしまっているのは残念でした。

ちなみに常々「鈍感さは最強の凶器」と思っているのですが、BL作品を読んでいると鈍感天然受がうじうじ思い悩んで気を遣っているつもりで、実はとんでもなくはた迷惑だったり相手に配慮させているというパターンは多いですね。この作品でも結局尽くし型Sに収束しそうな暮島には頑張って生きていっていただきたいものです。

作者の別作品も読んで、猫耳リーマンものや女装男子(攻)ものなど、キワモノ設定を嫌味なく料理するのが上手いとは思いましたが、これだけ繊細な話を描ける方なので、オーソドックスな話をじっくりやってもらえると嬉しいなと今後にも期待しています。

 

↓↓ぴいさんの他の作品の感想も書いています↓↓

 続編が出ました!