『恋煩い』砂原糖子(イラスト:志水ゆき)
買収予定のボロアパートに偵察と称して部屋を借りた槻島。深夜、部屋の壁に穴があるのに気付き覗いてみれば、隣人は男性で好みの容姿だった。男が自慰を始め、槻島は目が離せなくなる。その男こそ、売却を渋っている管理人の永沼だった。翌朝改めて顔を合わせた永沼は今時珍しいくらい実直な性格で、夜と昼、両方の彼に興味をひかれてゆく槻島だが……? ツンデレ社長と誠実なアパート管理人の、運命を変える恋。
収録作品:「恋煩い」「(番外編)恋模様」(表紙&挿絵イラストあり)
感想:
はじめて読んだ砂原さんの小説ですが、好みでした。イケイケの不動産会社社長が買収に応じないボロアパートに偵察のため部屋を借りたところ、穴のあいた壁の向こうで自慰に耽る管理人を見てしまい強く意識し始めます。覗き見系好きとしては設定からして萌えます。
強引で根性悪い社長・槻島と、寡黙だけど面倒見のいい樫谷。槻島は女嫌いという設定なので女性への暴言がなかなか激しいのですが、それも生育環境に理由があるということで、一応同情できるようなフォローはなされています。まあ、若干ベタではあるのですけど。
ネタバレ要素になってしまうかもしれませんが、(読んでも良いよという方は反転してください→)樫谷を攻める気満々だった小生意気な槻島が、最終的には受です。気配を感じたときにはあれあれという気もしたのですが、わたしはこの手の、小生意気なキャラがしっぺ返しをくらうパターンが好きなので、いざコトに及ぶ場面では快哉をあげるくらいでした。
濡れ場は回数はそこまで多くないですが、ねちっこくて良し。小説で濡れ場を書くのはワンパターンを避ける苦労が大変だろうとお察ししますが、読み手からすると漫画とは違った魅力があり、何より修正も白抜きもないのが良いです。漫画よりも売れ行きが厳しいと聞く小説ですが、小説には小説の魅力があるので出版社さんにも作家さんにも引き続き楽しい作品をお願いしたいところです。
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