ぬかるみ読書録

電子書籍で読んだ商業BLの感想をぬるぬると更新するだけのブログ。

『夜が明けても』まさお三月

恋の痛手を抱え続ける卯一郎は、酔った勢いで抱きついた男・真と一夜を共にしてしまう。行きずりの関係のはずだったが、真は卯一郎に「友達になろう」と言い、家に通ってくるようになり……!?傷ついた心を優しく癒すスイート・ラブ!!

収録作品:「夜が明けても(第1話〜最終話)※最終話は雑誌掲載版から加筆修正有」、描き下ろし(ショート計6ページ)、後書き(文字のみ1ページ)

感想:

今年読んだ中で一番好きな一冊。とにかく真(受)が可愛くて可愛くて、何度読み返しても萌え転がります。まさおさんの作品は脇キャラも魅力的ですが、本作でも部長やママ、卯一郎の使えない部下などいい味出しており、伏線の使い方も巧みです。

計算尽くの駆け引きがなくたって、常に綱引きのように気持ちが揺れ動くのが恋愛の醍醐味の一つだと思っていて、BL作品でも「相手に惚れられていて調子に乗ってたら自分の方がのめり込んで痛い目みる」系の話が大好きだったりします*1。この作品ではそこまで明確な力関係が扱われているわけではありませんが、気持ちの揺れや関係の変化についていけない感情の難しさなど機微が細やかに描かれています。

まさお三月さんの作品の中ではかなり色っぽい描写が多い気がします。絵柄的にそこまでエロエロな雰囲気にはならないのですが、ちょっとSっ気のある攻が好きなわたしとしては、面倒見がいい割にカッとなると(ベッドで)ねちっこく強引になる卯一郎と大胆なくせにいざとなると恥じらう真はツボでした。また、テンポ良くコミカルな会話も健在で、話自体を重すぎも軽すぎもしない絶妙なところに留めているようでした。

この後に『求めてやまない』が出ていますが、そちらは攻が天然(受もそれなりに変ですが)パターン。これも大当たりで、今年後半は本当にまさお三月さんに楽しませていただきました。

 

↓↓ まさお三月さんの他の作品の感想も書いています ↓↓

*1:小説だと木原音瀨さんの『美しい人』シリーズや、凪良ゆうさんの『美しい彼』、漫画だとねこ田米蔵さんの『酷くしないで』にもそういう傾向があって好きです。